あけましておめでとうございます。本年も当ブログをよろしくおねがいします。
さてさて、タイトルは SNS で最近良く目にするワードで個人的に気になっているところなんですが、最近というかここ数年でWebサイト制作の仕事はかなり分業化が進みました。
東京では分業化しているという話をよく耳にしていましたが、ここ数年大阪でも分業化している会社の話も聞きますし、僕自身案件によって分業で行うケースも少なくありません。
このまま進めばたしかに Web デザイナーはコードがかけなくても、Webサイトのデザインのみに注力して仕事ができるだろうという感覚もあります。
分業化で得られるメリットは下記あたりでしょうか
- 作業を分業化することで、自身の携わる分野に特化してスキルが伸ばせる。
- スキルに特化して仕事に注力できる
- キャリアプランを考えやすい
- チームの生産速度が上がる
分業化することで、1人で全部を覚えるより、ひとつのジャンルをより深く覚えるほうが効率はよいです。
フロントエンドのノウハウはここ数年移り変わりが激しく、バックエンドの知識もインターネット回線やモバイル回線のスピードが上がったことによって、トラフィックの処理をどうするかが昔よりも求められるようになりました。
デザイナーにいたっては、Webデザイナー・UIデザイナー・UXデザイナーと肩書自体が細分化し、デザイナーという言葉が昔よりも広義になっています。
各ジャンルで求められる知識はより深くなり、個人ですべてを理解して開発するハードルは非常に高くなりました。
分業化が進めば進むほど必要な知識量は増え、その必要となる知識を身に着けながら仕事をしていける人は組織にとって貴重な人材となります。
そういった優秀な人材は当然対価をもとめるようになり、組織がそれに答えられなければ、新たなフィールドへ旅立ってしまうでしょう。
そうなると、同じレベルの人材をいちから採用するのは非常に難しくなりますし、未経験で就職活動をしている人とはどうしても求人がうまくマッチングしません。
1人で一貫して作ることが多かった頃は、人材採用に対して今ほど難しくなかったと思います。
採用する場合も求めるスキルセットといえば
- Photoshop を使ってデザインできる人(その前は Fireworks を使ってデザインできる人)
- HTML や CSS を使ってコーディングできる人
- JavaScript を使ってインタラクティブな表現ができる人(その前は Flashでした)
という感じで、今ほど求める条件の情報量が多くありませんでした。
現場ではデザイン〜コーディングの部分の求人が多く、デザイナーのスキルが足りないと感じても、コードがかければ採用というケースも多かったため、この頃はとにかく Web デザイナー になるにはコードを書けることが必須条件な部分が強くありました。
そしてキャリアプランも
コーダー → デザイナー → ディレクター
という流れが多く、バックエンドの分野は専門の会社に依頼することも多かったです。
このキャリアプランだと、ほとんどの人がコードを書いてキャリアを積むため、デザイナーもディレクターもコードを書ける人がほとんどで、業界内で話をしても、デザインのこと〜コードのことまで話し合いできるという文化でした。
そのためチーム内で行うデザインの議論も、コーディングで実装可能かという話は主体となっていましたし、そもそも自分がコーディングをするので「デザインしておいてこれが実装できませんでしたは話が通らない」という思いが自分たちの中にありました。
分業化するとデザイナーがデザインのみ行うので、実装はフロントエンドエンジニアやマークアップエンジニア、コーダーが担当することになります。
そこで実装に無理があるものや、工数計算すると時間が足りないようなものが上がってくれば、実装者は当然ストレスを抱えることになります。
そうなるとデザインのフェーズができたとしても、チームとして成功したとなるかが問題点となり、たとえばそれがきっかけで優秀な人材が組織を離れてしまえば会社としては大きな損害ですよね。
この業界は常に知識のアップデートが必要で、これは今も昔も変わりません。
変わったのは、自分のためのアップデートという意識が、分業化によって会社のやチームメンバーのためのアップデートという意識が必要となったことで、ここを理解していないと 何故Webデザイナーがコードを書ける必要があるか?という議論はずっと消えないと感じています。
- Webデザイナーはコードがかけないと仕事にならないということはなくなった
- チームのメンバーがコードを書いてくれるのだから、それに沿ってデザインを作れることが必要
- それを知るためにコードがどういう結果をもたらせるのかの知識は必要
ということであり、コード自体はかけなくてもよいですが、結局コードがどういう結果をもたらせるかを知るにはコードを書いたほうが早いです。
インプットのみでコードの知識を埋められるのであれば必要ないと思いますが、おそらくアウトプットするよりもインプットのみで知識をつけるほうが時間がかかりますし、そもそも単にコードがわからないからやりたくないとのことであれば、自分の作ったデザインを実装する際に時間コストが増えていることを頭に入れておいたほうがいいです。
その上で、デザイナーから実装者にデータを渡す際に
- コミュニケーションを増やす
- 実装する人が必要とする情報をわかりやすくする(余白や色情報などわかりやすくするなど)
- 実装しやすいデザインツールの話がでたら、使えるデザインツールのスキルをアップデートする
- 必要となるデータはわかりやすく共有する
などに配慮すれば、コードが書ける必要があるかといった議論よりも、どうやってチームでデータを共有するのが効率的か?といった話しに議論がシフトしていくのではないかな?と思います。
Webデザイナーがコードが書けるべきかについては、この議論が上がる点がいくつかあって
- 分業化の際のコミュニケーション時
- 就職・転職の際、面接を受ける会社の要望を見ている時
- 就学中
あたりで、絶対的にWebデザイナーがコードがかけるべきなのは、転職先でコードが書けるWebデザイナーを求めているときと、就学しているカリキュラムにコードを書く授業がある時などですかね。
僕個人としては 昔からWebデザイナーならコードを書くタイミングは常にありますし、今でもあるので書けないと仕事にならないということと、Webサイトはコードでできているので書けたほうがいいと考えています。
ところで「べき」という表現が強すぎてあまり好きじゃないというのが気になるのですが、それはまた別の話ですね。
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