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UX改善のために行うヒューリスティックマークアップ

heuristic

ヒューリスティックとは

ヒューリスティックとは経験則の事で、自分が過去に体験したことによって得た学習の事を言います。

UXと似ていますが、UXは製品やサービスを利用した際に得られる体験や経験の事を指し、ヒューリスティックは、過去の経験則から予測される「おそらくこうなるだろう」という瞬間的なものを指します。

唐辛子が辛いということは、過去に唐辛子を食べて辛いという経験をしたから知っている情報で、それを元に、食べ物に赤い粉がかかっていると、これは辛い食べ物ではないか?という予測が立ちます。

色を見たとき、赤は危険で青は安全とイメージするのは、日常でよく目にする信号が、赤は進むと危険だから止まる色、青は進んで良いから安全な色といった認識から結びつく事であり、この認識は瞬間的に呼び出されます。

赤は危険、黄色は注意、青は安全を視覚化したビジュアル

ヒューリスティックはこの瞬間的にくだされる評価というのがポイントで、アプリケーションやサービスの利用時に置き換えても、ヒューリスティックが働くのは瞬間的な判断で行われるようになっています。

ヒューリスティックマークアップとは

ヒューリスティックマークアップとは、この瞬間的な評価を利用したのユーザビリティ調査の事で、実際にアプリケーションやサービスを利用するユーザーに自分を置き換え、行動一つ一つを写真やスクリーンショットで記録し、その時感じたことや起こったことを記載していく手法になります。

やり方としては、ひとつのステップ毎にスライドに起こし、そのスライドに感じたこと、知ったこと、考えたことを書き留めていきます。

ヒューリスティックマークアップのスライドサンプル

このやり方は非常にシンプルで、プロダクト開発者自身がユーザーになったつもりでテストするだけでも情報を得ることが出来るため、気軽に調査できるのが特徴です。

僕の場合、Webサイトの改善点を見つけるためにとってきた手法ですが、ヒューリスティックマークアップという名前を知ったのは最近のことです。

おそらくサービス開発者、提供者であればスライドにするまでは行かずとも、意識すること無くこれに近い事はやっているのではないでしょうか。

ヒューリスティックマークアップはそれほどまでにシンプルな手法であり、ユーザビリティを考える立場であれば多くの人が採用している手法だと思います。

利用するシーン

僕の場合、運用しているサービスであれば、アナリティクスのデータから離脱率の高い箇所を導き出し、そのページのボトルネックになるであろう箇所を探していきます。

  • ビジュアルは大きすぎないか、小さすぎないか
  • バナーは分かりやすいか、分かりづらいか
  • 運用期間が長くなるにつれ、見せるべきコンテンツの優先順位がおかしくなっていないか
  • 最初の設計が今のユーザーにとってベストだったか
  • 機能を使うのに無駄なコストが発生していないか。現状よりもコストの削減は出来ないか
  • etc

運用していくと最初の設計にズレがあったと気づくケースも少なくありません。
インハウスの場合、これらを軌道修正し、ユーザビリティをより良いものにすることでコンバージョン率を上げる施策を常に行う必要があるので、このテストは頻繁に行っています。

また、仕事上、Webサイトの新規作成やリニューアルを頂く場合、現状のサイトのテストと、競合他社のサイトのUX調査を行い、リニューアルの場合は現状のサービスが抱える問題点を洗い出していきます。

ヒューリスティックマークアップのメリットとデメリット

メリットについては簡単であることと、現状の問題点の把握がし易いこと、そして何より答えに至るまでの時間が早いことです。また、手法が簡単な為、他者にテストを行ってもらうことが容易であるため、自分では気づけないフィードバックを大量に得ることも期待できます。

また、スライドがドキュメントとして残るので、プロジェクトチームへの問題共有が行いやすく、チーム全体で議論を行うことも容易にできます。

アジャイル開発を採用している場合、それぞれのスライドをタスクにすることでよりスピーディにUXの改善を行うことが出来ます。

しかし、一方で経験則という事がある為、人によって偏りがあったり、そもそも調査の結果が正しい答えでない場合もあります。

とはいえ、運用におけるPDCAサイクルは非常に早く回るため、軌道修正も早くに行うことができるので、デメリットを補うことは十分可能です。

アジャイル開発 → アジャイルソフトウェア開発 (アジャイルソフトウェアかいはつ、英: agile software development) は、ソフトウェア工学において迅速かつ適応的にソフトウェア開発を行う軽量な開発手法群の総称である。

アジャイル開発:wikipediaより

PDCA → PDCAサイクル(PDCA cycle、plan-do-check-act cycle)は、事業活動における生産管理や品質管理などの管理業務を円滑に進める手法の一つ。Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)の 4段階を繰り返すことによって、業務を継続的に改善する[1]。

PDCAサイクル:wikipediaより

まとめ

ヒューリスティックマークアップを行う時の注意点として、一連の動作を全て記録しなければなりません。UXはUIを見るだけで掴み取ることはできず、一連の動作の中で受け取る感情には様々あり、動的に調査することでそのUXがユーザーにとって充分であるかどうかが判断できます。

また、動的に見る場合にユーザーが自身の思い描くシナリオに沿って情報を受け取れているか?受け取る時に不都合がないか?という部分に注意を払ってください。

こう書くと難しそうに感じるかもしれませんが、調査自体は気軽にできるユーザーテストなので、取り掛かりはやってみようか初めてみてください。
考えているうちに色々なものが見えてきて、楽しくなりますよ。

参考文献

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