マーケティングにおいてペルソナは非常に重要な位置にあり、ターゲットとするユーザーの指標をチーム内で認識を共有するためにも必要なものになります。
ペルソナは想定されるユーザーの情報をただ箇条書きにすればいいのではなく、理想とするユーザーの人物像を作り上げていくことに意味があり、その人物像がチーム内で1人の人間として認識されるようになれば、それは非常に重要な財産となります。
目次
ペルソナに必要なデータ
ペルソナは1人の人間ですので、名前はもちろん、年齢、仕事、趣味など人を構成するものを持っていなければなりません。
- 名前
- 性別
- 年齢
- 性格
- 居住地
- 仕事
- 服装
- 趣味
- 家族構成
- 友人関係
- 健康状態
- 一日のスケジュール
- 人生の目標
- 普段利用しているサービスや情報と、それに対するアプローチ手段(テレビ、新聞、インターネット、ラジオなど)
- 利用しているSNS
- 利用しているデバイス
- etc
上記はあくまで一例です。もっと考えられることがあればそれも項目に追加し、人物像がより見えるようにしていきましょう。
上記項目について一つ一つ解説しています。
名前
ペルソナは複数人立てるケースも多く、混同しないためにも名前をつけ、チーム内でペルソナを指す場合はつけた名前で呼ぶようにしましょう。
そうすることで、ペルソナ自身がチームの中で生き、共通認識がよりしやすくなります。
性別
性別によってサービスの使い方、情報の受け方、考え方は違います。その為ペルソナの詳細情報を決めるよりも先に決めておかねばなりません。
年齢
年齢によって普段の生活スタイルが大きく変わります。それにより様々な考え方や知識も大きく異なります。
性格
その人性格によって物事に対する考え方、好み、趣向が変わってきます。一つの広告を見せる場合でもどういうものを好み、どういうものを嫌うのか?どういうサービスが好みでどういうサービスを嫌うのか?といった主観性が変わってくるので、思いつくものを書いておきましょう。
性格の有無でペルソナの人間らしさも当然向上します。
居住地
居住地が都市なのか田舎なのかによってサービスへのアプローチレベルが異なります。
例えば映画館で受けられるサービスは都市に居住であれば受けやすいですが、田舎であれば難しいかもしれません。逆に星空を写真に収めることが目的のアプリケーションなどは、田舎では容易ですが、都市では困難だと思います。
そういった差がそのサービスに与える影響を知るためにも必要な情報になります。
仕事・服装・趣味
- どんな仕事か?
- 役職は?
- 給料はどれぐらいもらっていて、どれぐらいであれば自由に使えるのか?
- その人が仕事・服装・趣味に対する情報はどこなのか?
- その人が服装や趣味対して利用する金額は?
など、ライフスタイルやお金に対する価値観が見えてくるものが多いです。これらに対するマインドはサービスの展開を考える時にも重要なアプローチポイントになります。
家族構成・友人関係
サービスの情報を得るのはメディアだけではなく、口コミといったリアルでの取得も非常に多いです。
Webサービスの場合口コミのようなリアルな繋がりは、運営側にとって見えづらい部分となり、見えづらいために意識もリアルから離れがちになってしまいますので、それを避けるように設定しておきましょう。
健康状態
人間は万全ではありません。怪我もすれば病気にもなりますし、すべての人が同じ条件でサービスにアクセス出来るか?という問題も有ります。
アクセシビリティを考える事も想定して考えてみましょう。
一日のスケジュール
サービスを利用されるタイミングがいつになるのか?
広告を出すにはどの時間が良いのか?
など、時間は非常に重要なキーワードです。ユーザーがアクティブになる時間を想定し、無駄のないマーケティングを考えるようにしていきましょう。
人生の目標
人生の目標として大きな物があり、それを達成するための小さな目標が様々あります。
その小さな目標を一つ一つクリアしていく中で、人は多くの情報やサービスに触れるのですが、自分たちが今開発するサービスがその過程のどこにハマるのか?を考えてみましょう。
普段利用しているサービスや情報と、それに対するアプローチ手段
ペルソナが普段利用しているサービスや情報は、非常に重要なマーケティング材料です。
自分たちのユーザーとなりうるユーザーにどうやってアプローチしていくのか?を考えるためにも必要な情報ですね。
また、サービスの利用前、利用中、利用後でどういったサービスを利用しているか?どういった情報を得ようとしているか?を考えることも非常に重要なポイントになります。
利用しているSNS
近年SNSを利用するユーザーは非常に増えており、マスではなく個人に対してのマーケット上アプローチ手段としてはメール等の他のサービスよりも意識される傾向にあります。
ペルソナが一日どれ位利用し、どの時間に利用しているのか? またインフルエンサーとなるのはどういう人なのか?を分析し、SNSのマーケティングは何が重要になるのか?を考えましょう。
利用しているデバイス
デバイスはもちろん、どういったアプリや機能を使っているのか?そのアプリはどういった部類のものなのか?移動中はどうしているのか? スマートフォンでどういったサイトを閲覧するのか?など、デバイスそのものだけにとらわれずに考える事が必要です。
そうすることにより、Webサイトのスマートフォンに対する最適化はどのようにするのか?
どの媒体に広告を出せば良いのか?などが見えてきます。
ペルソナがもたらすもの
ペルソナを立てるということは、ユーザーを仮説することになるので、どういったコンテンツをどのように提供すれば効率がいいのか?を考えることができます。
- 集客の段階でどこにアプローチをすれば良いのか?
- 集客したユーザーに何を見せれば良いのか?
- ユーザーが離脱した場合何を改善すれば良いのか?
- ユーザーが利用した後、何をアプローチすれば良いのか?
- ユーザーが予約した後、サービスを届けるまでに何が出来るのか?
これらはモノや技術が中心で考えるのではなく、HCD(Human Centered Design)、つまり人間中心設計になります。
使う人のニーズに合わせたものづくりはUXにおいて根本となる部分で、HCDはこれに沿ったプロセスを持っています。
このプロセスはHCDプロセスと呼びますが、このプロセスの際に指標となるペルソナの存在は欠かすことができません。
そして、ペルソナとこのHCDをチームに共有することで、ユーザー中心設計の考え方をチーム全体にもたらせてくれます。
ペルソナを立てる時に考えること
ペルソナを立てるには前述の、「ペルソナに必要なデータ」で挙げた情報を集めなければなりません。
例えば、開発しようとしているサービスの競合があるのであれば、その競合のサービスをすでに利用している人へのインタビューや、アンケートの実施。または会社であれば社内スタッフへのヒアリング等になります。
想像を元にペルソナを立てるより、なるべくデータや実際の声を元に情報を集めるようにしましょう。
想像でペルソナを立ててしまうと、ユーザーが行動を起こした理由や動機の部分も想像で考えることになってしまうので、指標に対する信頼性が確立されません。
データや実際の声を使うことで信頼性のあるペルソナとしてしっかりとした指標になることができます。
良質なペルソナを作るには?
ペルソナで重要なのは、ユーザーが行動を起こした時の理由や動機の部分です。
サービスを提供する際、ユーザーに行動を起こしてもらわなければ利用してもらうことはできません。その行動のキッカケを知ることで、自身のサービスを利用してもらえるポイントを見つけることができます。
ペルソナは様々なデータを元に構築され、それによって、何を考えるのか?を想定することができます。その想定された仮説と、情報収集の際に得られた行動の理由を元に、何が必要か?を突き詰めていくことが重要で、それを行うことでよりリアルな人物像が書けるようになります。
例えば、ペルソナの名前を山田さんとします。
その山田さんは現在40歳で、経済新聞を読むことが日課です。
これだけでも山田さんの様子は少し見えますが、これを突き詰めて見ましょう。
山田さんは最近務めている会社の上司から、これから先経営側を目指すなら社内のことだけではなく経済そのものをもっと見ていかないといけない。だから、情報収集はもっとしていくように。
と言われので、最近は経済新聞を読むのが日課になっています。
先ほどよりも具体的な理由と動機をつけました。このことから分かるのは
- 将来役職を目指している
- 先を見越してアドバイスをくれる上司がいる
- 山田さん自身上司を信頼し、経済新聞を読むようになっている。
ですね。
上司からのアドバイスは情報収集を行うようにというポイントと、それを動機として経済新聞を購入したのは、おそらくまず先に何をするか?を考えた際に思いついた事だからでしょう。
では、この人に対して必要な物は経済新聞以外にどういったものでしょうか?
- 経済の情報が入手できるアプリケーション
- テレビで配信されるニュースの視聴
- インターネットの経済ニュース
などですね。
もしあなたが経済情報を読めるアプリケーションを開発するとすれば、この3つは抑えておきたいポイントになると思います。
- 経済の情報が入手できるアプリケーション → アプリケーションの開発
- テレビで配信されるニュースの視聴 → アプリケーションの広告CMによる集客
- インターネットの経済ニュース → オウンドメディアに寄る集客
このように、理由や動機を知ることは、より具体的な戦略を立てる検討材料になります。
そして、これが良質なペルソナと言えるでしょう。
ペルソナのサンプル
先ほどの山田さんをペルソナにしてみます。
- 名前
山田 太郎 - 性別
男 - 年齢
40歳 - 居住地
都心 - 仕事
不動産販売会社に務めるサラリーマン。役職は課長 - 服装
出社時はスーツ。休日は年齢や役職のことも有りオシャレにも気を使っていて、ラフすぎる格好はせず、ジャケット、ベージュパンツポロシャツなどを好んできている。革靴が好きで、スニーカーは殆ど履かない。 - 趣味
取引先や上司との付き合いがキッカケにやりだしたゴルフにハマっている。 - 家族構成
奥さんと子どもが1人の3人ぐらし。あと犬を飼っている。 - 友人関係
交友関係は広く、友人は多い。週末はゴルフに行く友人や、バーベキューを家族ぐるみで行う友人などがいる。 - 健康状態
健康にも気を使っていて、良好。 - 一日のスケジュール
朝9時には出社し、社内で資料を閲覧、社内ミーティングを行うことが多い。午後は弁当を食べ、午後からは来客や営業に出ることが殆ど。夕方からは自身の資料作成を来ない、早く終われば定時退社。日によっては1時間〜2時間程の残業をすることもある。週末は家族や友人と過ごすことが殆ど。あまり人といるのは好きではない。 - 人生の目標
務めている会社の経営側になりたい。その為に必要な事を上司と相談し、円滑に進むよう周りともうまく付き合っている。 - 普段利用しているサービスや情報と、それに対するアプローチ手段
インターネットやテレビ、新聞を見ることが多いが、パソコンやインターネットに詳しいわけではなく、都度何を見ればいいかは上司や友人などに相談しながら選択している。 - 利用しているSNS
facebookのみ利用 - 利用しているデバイス
会社から支給されているスマートフォンと、営業用のタブレット。最近電子書籍で経済新聞が読めることを知って、自分用のタブレットの購入を検討している。
ざっと書きましたが、もっと掘り下げるためには理由や動機を知るところにあるので、具体的な事が書けない場合は、情報収集を改めて行い、理由や動機を突き詰めていきましょう。
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