去年から RaiseTech というオンラインのエンジニアスクールで WordPress 副業コースの講師をしています。
RaiseTech はプログラミングを教えるのが主体ではなく、エンジニアの育成が主体のスクールで、Java, AWS, 他に今年からデザインコースやマーケティングコースなども新しく登場。
スクールで教えている上で一番大事にしているのは、自分で問題を解決する力を身に着けてもらうことで、すでに現場に出ている人はわかると思うのですが、何が作れるか?も大事ですが現場では作らないといけないものをどうやって作るのか?を考え、調べ、形にすることなんですよね。
ソースコードの品質やレベルの高い製品の開発は、まずこれができるようになってからで、最初からこういったものを形にできる人はなかなか居ません。
そうなると現場は人材を探してもなかなか思う人に巡り会えず、いわゆる優秀な人材の採用はなかなか難しいのが現状です。
そうなると採用ではなくてもパートナーとしてフリーランサーとの契約を考えるのですが、フリーランスの方もみんな忙しく、手伝ってほしい時に仕事を依頼できるか?というと、それもなかなか難しい状況。
実際僕自身も、契約している企業の方から何度も相談をもらいはするものの、要望に答えられそうですぐに稼働できる・契約できる人となるとなかなか見つからないんですよね。
Web 業界で働きたい人・スキルを身につけるために学習している人というのは昔から多いものの、現場は人材が不足しているというのがこの業界で感じてきたことで、この関係はなかなか変わらないなーっていうのを僕自身感じていました。
RaiseTech の講師になった理由
RaiseTech の代表をしているえなみん( @koujienami )から 「WordPress のカリキュラムを作りたいんだけど、現場で稼働していて且つ人に教えられそうな人で思いついたのが僕だった」ということでお声がけ頂いたのがきっかけだったのですが、その時色々話した中で
- IT 業界も現場は人材不足
- 単にプログラミングを教えるのではなくて、現場で活躍できる人を育てたい
- ツールやプログラミングを教えるだけじゃだめ
という点に共感を得たことが大きな理由です。
人材不足の部分は先程のお話と同じで、Web 業界だけじゃなく IT 業界もだから感じていることは同じだなあということ。
現場で活躍できる人を育てたいというのも先程の話にかかることで、僕が人材の相談を受けた時にスクールを通じて教えた人なら成長過程を見て紹介できるのではないか?と感じたこと
ツールやプログラミングを学んだだけじゃだめというのは、自分自身がこれまで制作を生業として活きてきた中で強く感じたこと。
僕が通ったプログラミングの学校も、デザインを学んだスクールも共通して考え方を教えてくれた部分が大きくて、それが根本にあるから新しいことを学習するにしてもものを作るにしても自分でどうにかする力があったから乗り越えられてきたんですよね。
独学でうまく学べる人はスクールに通わなくても現場で活躍するスキルは身につけられますし、そういう方も周りに沢山います。
ですが、すべての人が独学でその学習ができるわけではなく、サポートが有ることで効率良く学べる人のほうが世の中には多いと感じます。
実際講師業を始める一年前からマンツーマンで Web 制作を教えている子がいるのですが、サポートしながら自分で考える方向で学習してもらったところ、今ではデザインをやったり、コーディングを CSS 設計を用いて悪戦苦闘しながらもコードをかいたり、PHP でカレンダーを自分で作ったりと様々なことが出来るようになりました。(今は僕の会社で社員として働いてくれています)
その過程を目の前で見てきたので、こういう人をもっと見ていきたいし教えていきたいと考えたのが RaiseTech で講師をやろうと決めた理由になります。
WordPress 副業コースで教えていること
カリキュラム自体は公式サイトのコース案内にでていますが、Web デザイン〜HTML, CSS, JavaScript, そしてWordPress とかなり幅広く教えています。
Webサイトの基礎知識
- 第1週 Webデザイン
- 第2週 HTMLとCSSを使ったコーディング基礎知識
- 第3週 HTMLによるWebサイトの構造構築
- 第4週 CSSによるフロントエンド実装
JavaScriptによるフロントエンド実装
- 第5週 JavaScriptの基礎知識とjQuery
- 第6週 スライダーの実装
- 第7週 ハンバーガーメニューの実装
WordPressによるWebサイト構築
- 第8週 Webサーバー
- 第9週 PHP プログラミング基礎
- 第10週 WordPress 開発環境導入とWordPressの管理画面について
- 第11週 WordPress に必要なテンプレートファイル、テンプレートタグについて
- 第12週 公式ディレクトリのテーマと子テーマによるカスタマイズ
- 第13週 静的サイトを WordPress テンプレートファイル、テンプレートタグを用いて再実装
- 第14週 ループ処理によるアーカイブ実装
- 第15週 ブラウザチェックと WordPress のテーマチェックによるデバッグ
- 第16週 サーバーとローカルデータのデプロイと WordPress を管理する WP-CLI
本当は WordPress のことを伝えるだけで16週かかるのですが、WordPress だけを教えるとなるとスクールに入る事自体のハードルが高くなることと、HTML や CSS に関しても入り口は簡単だけど実際には難しいということを教える機会が無いからです。
実際現場だと WordPress に取り掛かる前にはコーディングが必要ですし、副業やフリーランスの場合デザインも行うことが多々あります。
分業化が進んでいるとはいえ、まだまだ現場によっては一人で全部やるケースもありますし、今はこうやって一通りを教えるというのは理にかなっているかと。
そして授業の初回はオリエンテーションを行っていて
- WordPress の大切なこと
- どのように学習していくのか
- わからないことがあったらどうするのか
- Slack が使えるが、どのタイミングで質問するのか
- どんな質問をしてよいのか
をまず話しています。
WordPress の大切なこと
WordPress が商標であるという話をもとに、名前の大切さとそれに伴ってなにかに表記するときはかならず W と P が大文字でと伝えています。
プログラミングには関係ないのでは?と考える人もいるかも知れませんが、そもそも自分がこれから扱うものであり、更にはそれでお金を稼ごうとしているわけだから、名前は何より大事。
そしてそれとともにライセンスの話をしています。
誰かが作ったものは勝手に使うことはできません。これは当然のことで、使うには作った人の許可がいります。ソフトウェアだろうがイラストだろうが実際に触れることが出来るものだろうが同じです。
ライセンスは本来制作者に許可を得なければならないものに対して、この条件に従ってくれれば使っていいですよという約束事です。
WordPress は GPL というライセンスで成り立っていて
- いかなる目的に対してもプログラムを実行する自由
- プログラムがどのように動作しているか研究し、必要に応じて改造する自由
- 身近な人を助けられるよう、コピーを再配布する自由
- 改変した版を他に配布する自由
が約束されています。
自分が使うものだからライセンスはしっかり知っておかないといけません。
どのように学習していくのか
カリキュラムはあくまで基礎知識をお伝えする部分で、肝心なのは自分で考えてまずはコードを書いていくこと。
なので、まず手を動かして後からカリキュラムで具体的な話やそれに対する学び方・使い方・作り方を解説していくということをお伝えしています。
基本的に現場でやっていることを疑似体験しながら学習してもらうというのが狙いで、実際現場に出ると実現しないといけないことがあって、それをどう形にするか?を考えるのが一番時間と頭を使う部分なんですよね。
そのため、そこを養うことを重要視しています。
わからないことがあったらどうするのか
どんどん質問してくださいと伝えています。
自分でまずは考えてもらうんですが、当然まだまだスキルが不足しているときは何をどう調べて良いのかすらわからないです。
そういうときのために講師やメンターが存在して、どういうキーワードで検索すれば良いのか?とか、エラー文をどう読み解けば良いのかなどヒントを伝えて、自走できるための補助輪のような形でサポートしていることを伝えています。
Slack が使えるが、どのタイミングで質問するのか
どんどん質問してくださいとお伝えしています。
質問の仕方にもスキルがあって、最初から上手に質問出来る人もなかなかいません。現場だと聞くということは相手の時間を奪うことなので、闇雲に質問はなかなかできないです。
ですが、スクールであれば講師やメンターは闇雲に質問が来ると常に思っているので、どんどん質問してもらってスクールで学んでいる間に質問の仕方もスキルとして身につけてほしいと考えています。
どんな質問をしてよいのか
質問に制限はないので、何でも質問してくださいと伝えています。
講座の時間に質疑応答の時間がありますが、授業以外のことを質問してOKで、学習と関係ないことの質問でもOKになっています。
それは Slack での質問でも同じく、僕のコースは WordPress やコーディングが中心ですが、デザインの質問でも構わないし、見積もりの仕方や学習にモチベーションが出ないときのアドバイス、就職で必要なポートフォリオや面談で何を話すかのサポートなどなんでも答えています。
これは僕だけじゃなくて RaiseTech の講師・メンターすべての人が同じ考えでサポートしています。
RaiseTech で学習する上で大事なこと
とにかく沢山失敗してほしいです。
学習中は失敗しても誰にも怒られないし、失敗していたら講師・メンターがサポートします。失敗を恐れていては成長はできません。
質問の仕方が荒くてもいいし、質疑応答で変な質問になっちゃってもかまわない。誰かが質問したことを重複して質問しちゃってもいいんです。
失敗してもそこから学んで繰り返さなければよいわけで、それが成長だと僕は考えます。
Git や GitHub も教えていますが、案件のソースコードで操作を誤って消してしまうとまずいですが(そうならないための Git ですけどね)、学習のうちなら消えても自分がもう一度時間かけてコードを書けばいいだけ。
誰にも迷惑はかけていません。どんどん失敗して自分をどんどん成長させていってほしいです。
講師やメンターをどんどん利用して
時間を奪ってしまうって考えないでください。僕たちは奪われることを知った上で参加しています。
自分の学習のためにお金を払っているわけだから、使えるものなとにかく使う。講師やメンターを人間と思わなくていいです。何か聞いたらなにか返事をするボットのようなものぐらいで捉えておいてもらえればオッケー。
無期限で使える Slack をカリキュラム終了後も使ってほしい
Slack のサポートは無期限で使えます。カリキュラムが終わってもなんでも質問できるし、やりたいことがあったらどんどん発言して自分の居場所として RaiseTech の Slack を活用してください。
そして困っている人がいたら自分の知識を使ってサポートしてあげてください。
教えることは自分自身にとっても学びがあります。僕たち講師やメンターも教えることで自分にとっての学びを得ています。それを僕たちだけが得るのではなく、みんなにも同じ体験をしてほしいです。
RaiseTech の難しいところ
まず課題が難しいです。投げ出したくなるぐらいには難しいです。
どれぐらい難しいかというと、現場の人が見ても難しいと感じるぐらい。
WordPress 副業コースだと
- WordPress のテーマを作り方を見ながら実際に作る
- RaiseTech のサイト一部を模写する
- デザインデータを CSS 設計(今は Flocss )を使ってコーディングし、それをテーマ化する
- 課題の提出を GitHub で行う
になります。
現場で僕が人材不足を感じるのは、チーム開発ができるスキルで、これは
- CSS 設計を使って他の人とルールを合わせる・ドキュメントに従ってコードを書ける
- ソースの共有に Git が使える
の2つを掛け合わせできる人です。
自分でコードを書いてそれをテーマにして納品までなら多くの人ができるのですが、この2つをかけ合わせてできる人となるとなかなかいません。
現場で活躍している人にはたくさんいます。ですが、独学で学習している人だとどうでしょうか?
おそらくほとんどの人が、デザインをコードを使って再現することにフォーカスを当てて学習していると思います。
なぜなら、一人でコードを書いて学習だと誰かとコードを共存ということになりづらいからなんですよね。
僕は Flocss を普段使っているし、好きだからカリキュラムに入れているのですが、Flocss を学習することが目的なのではなく、CSS 設計を使って他の人とルールを合わせる・ドキュメントに従ってコードを書けることに重きをおいています。
他にも色々な考えからカリキュラムを考えて学習してもらっているのですが、全部書いているとこの記事が書き終わらないのでこのへんまでにしようと思います。
RaiseTech の申し込みについて
まず申し込みに条件があるのですが、ここからすでにハードルがあります
- (必須)MacかWindowsのPCを持っている
- (必須)ネット検索を利用できる
- 期間内に必要な学習時間(300時間程度)を確保できる
- PCの基本的な操作が問題なくできる
そこから金額も決して安くはないです
298,000円(税込)学割だと198,000円(税込)2023年10月1日現在 448,000円 (税込) 学割だと288,000円 (税込)になっています
なので安易に稼げるというキーワードだけで申し込むとかなり大変です。副業コースという名目ですが、僕たちの考えている副業コースは現場のレベルより高いことを意識しているので、スキルを身につけるハードルがここで解説してきたように高いので、しっかりとよく考えて申し込みをお願いします。
僕たちは申し込む!と決めてくれた人たちに対して真剣に向き合っています。
それでも自分にあうか不安という方は2週間の無料トライアルがあるので、どうしても学習方法が合わないというときは運営にご連絡くださいね。
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