フリーランスになってお仕事を頂くお客様と直接話す機会が増えてきました。
会社員の頃は受託の仕事ではなかったので、こういった経験がないまま独立したため、最初に聞いておくべきことや確認する事が非常に多く、結構時間がかかります。
僕の場合、Webサイトを作って欲しい、リニューアルをして欲しいという要望からヒアリングをするというのが多いのですが、ちょっとどういった事を話し合っているのかを書き留めようと思います。
最初の打ち合わせ前に行うこと
お客様との打ち合わせの前にその業界について色々調べます。というのも、我々サイト制作者はあくまでサイト制作のプロであって、お客様の業界に関してはほぼ素人なので知らないことばかりです。
そうなると、自分がデザインを作るとしても、何故その色なのか。何故その配置なのか。という部分がぼんやりとしてしまうので、最低でも
- どういう商品が今人気があって注目されているのか
- どういうユーザーが業界にいるのか
- どういう競合がいて、どういうことをしているのか
- 集客経路はどこにあるのか
- そのサイトで販売されている商品は、どういうところで利用されるものなのか。どういう種類があるのか
- 実店舗はあるのか
という部分を考えておきます。
特に競合サイトがどういうことをしているか?の部分は非常に重要で、競合サイトを幾つか調べてどういう共通点があるか?を洗い出します。
- サイトのカラーやテイスト
- サイトの雰囲気
- 用意されているナビゲーション
- レイアウトやサイトのフレームワーク
これらは、競合他社もターゲットのユーザーを想定してサイト設計を行うため、共通化する部分が多いです。
ここから大きく外してしまうと、ユーザーに「思っているものと違う」という印象を与えてしまいます。
戦略によってはそれが良い場合もありますが、その場合は明確な根拠が必要となりますので、「外すことが本当に成功に導くことか」という検証は欠かせません。
重要なのは、どちらが良いのかを検証し提案することあり、合わせたほうが良いのであればその旨をお客様に説明するという点にあります。僕の場合だと、競合に合わせたほうがいいケースの方が多いので、殆どがこちらになっています。
デザインのテイストや雰囲気をどうするかもこういった理由から取り決めをおこなってお客様に説明をするので、納得してもらうことがほとんどです。見た目の部分でこうしたいという話も頂くことはありますが、「何故そうするのか」という明確な理由があるから納得していただけることと、ユーザー目線でのサイト制作を行う意義も合わせて理解してもらえるので、そこから先の話もやりやすくなります。
打ち合わせで大事なこと
これは先程の続きになってきますが、お客様と制作者が同じ目線でサイト作りに取り組むという土台作りです。優れたUIやユーザーにとって良質なUXなどはこの土台ができない限りうまくいきません。
例えば、お客様がイチ担当者で、僕自身との間でその土台ができたとしても、担当者の上には上司や役員、社長といった方々が存在します。その人達が鶴の一声で「こうしなさい」という指示を出してしまうと、せっかく土台を作っていても一瞬で崩壊してしまいます。
Webサイトを作る時はお客様の担当者と制作者の間で行うことは多いですが、そのWebサイトはお客様の会社のものということが多いので、会社と制作者とで土台を作る必要があり、Webサイトの制作にだけフォーカスを当ててしまうと思わぬところで巻き返しが発生してしまうのも事実です。
決裁権を持った方と一緒に仕事ができると一番効率が良いですが、中々そうも行かないのが難しいところですね。
それを避けるためにも、担当者の方が上の立場の人に対して理論的に説明できる手段を用意しておく事。また、それが何であるかという話し合いも行います。
その上で、打ち合わせ前に用意した
- どういう商品が今人気があって注目されているのか
- どういうユーザーが業界にいるのか
- どういう競合がいて、どういうことをしているのか
- 集客経路はどこにあるのか
- そのサイトで販売されている商品は、どういうところで利用されるものなのか。どういう種類があるのか
- 実店舗はあるのか
と合わせて、お客様がサイトに掲載したいと考えているコンテンツをヒアリングを行い、優先順位の取り決めや不足している物の提案を行いながら打ち合わせを進めていきます。
例えば競合他社が力を入れているコンテンツはそれが業界で売れている商材の可能性が高いということですが、お客様がその商材を取り扱っていないのであれば、何故取り扱っていないのか。取り扱いできるのであれば検討したほうが良いのではないか。といった話ができます。
Webサイトの制作というのはお客様の中で出来ることを表現することではありますが、新しいことをする時というのは業務内容そのものを考え直すのにいいタイミングでもあります。
普段の仕事環境だと通常の業務に追われてしまって、通常業務について見つめ直すタイミングがあまりないケースも多いので、そういったところに焦点を当てて話し合いをすると、お客様の望む収益のことやコンバージョン、集客といったところまで一緒に話ができるので、なるべく視野を広げて打ち合わせを行うようにします。
なぜなら、お客様が僕に対する望みはWebサイトの立ち上げやリニューアルですが、その根底にあるのはこういった部分があるからです。
そのため、最初の打ち合わせは時間が非常にかかるので、予めなるべく時間を長くとってもらうよう伝えておきます。
打ち合わせの流れ
打ち合わせによって変わりますがおおよそ下記のような流れになります。
- 事業内容やWebサイトに掲載したいコンテンツのヒアリング
- 競合サイト調査の伝達
- 集客経路のヒアリング
- 不足していると感じた部分に対する提案
- より良くするために出来ることの模索
- サイトデザインのテイストやサイトフレームワークの取り決め
- 必要となるサーバースペックの伝達と取り決め
- 開発環境の取り決め
- スケジュールの取り決め
競合サイトがどうなっているのかのすり合わせは実際にWebサイトを見ながら進めます。
依頼主は基本的に自身の競合サイトもよく見ていて、どのサイトが何故そうしているか?という部分に対する明確な答えをもっているものもあれば、疑問に感じたままのものもあります。
そこを全て共有してもらい、一緒に紐どいていくことで、自社のサイトをどうしていくべきか が、お互いに見えやすくなりますし、個人の好みよりも誰のためにどういうデザインにすべきか について取り決めが行えるので、実際にデザインを作った後でも大きな巻き返しが起こりません。
大事なことは一緒に作っていくことで、細部に渡って一緒に考えることは重要なプロセスだと感じています。
まとめ
制作者と依頼者という関係から、依頼する側の要望はどうしても強くなりがちですが、その要望が果たしてユーザーのためになることかは不明で、その要望がもしユーザーにとって良くないものであるなら、それを採用した場合のデメリットは依頼者に返ってきます。
制作者からすればWebサイトに関わってきているプロなので、すべきでないという判断があるならば根拠を伝える必要がありますし、要望よりもユーザーのために考えることが何故必要なのかの説明も必要です。
何よりも大事なのは、お互いの立場を意識せずサイト制作のことに対して思うこと、感じることを言い合える関係づくりであり、ディレクションの肝はこの部分ではないでしょうか。
それさえできれば、何が必要で、それを作るにはどれだけの工数と金額が必要かを算出し、それを元にしたスケジュールの話し合いを先方としっかりとできるので無理なスケジュールにもなりません。
そして納品が終わった後、「お互い一緒にやって良かった」と言いあえる関係にしたいと考えています。
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